2017年3月 2日 (木)
2017年1月27日 (金)
窒息死と言葉
よくお正月になると、お餅をノドにつまらせて窒息死する事故のニュースが報道されます.子供がミニトマトやブドウ、飴玉やマメ類をノドにつまらせて死亡する事故は日本では年間20人にもなるようです。アメリカでは、年間70人との報告も有ります.
どうしてこのようなことが起こるのかと言えば、食物が口から入り、食道に行く通路と、空気が鼻から入り(鼻が詰まっている場合は口から)肺に入る通路が咽頭で交差しているからです。
その咽頭部の管に食物がつまって動かなくなってしまうと、肺への空気の通り道が塞がれて窒息してしまうことになります.その窒息が5分も続けば命が危ぶまれることになります.
このような構造が原因で起こる問題で誤嚥もあります。これは、本来は口から入った食物は、咽頭を経て食道に入るべきなのですが、間違って肺に入ってしまうことから起きる現象です.前述したように、口からの食物も、鼻からの空気も同じ咽頭を通り振り分けられています。呼吸は四六時中しなければないのですが、食事は限られた時間なので、常に肺の入り口は開いています。ということは、食物が空気が入るべき肺に入ってしまうリスクが常に存在しているということです。では何故そんな危険な構造なのに、誤嚥事故が通常は発生しないかというと、食物が咽頭部に入ると肺の入り口にある喉頭蓋という蓋が閉じて食物が肺に入らないようにする反射機能が人には備わっているからです.その機能が老化したり、各種神経筋機構のマヒにより鈍ってしまうと、食物が咽頭に落ちてきても、喉頭蓋が閉じず肺に入ってしまうのです。これでよく起こることが誤嚥性肺炎です。
肺炎は日本人の死亡原因の第3位であるようですが、その肺炎の多くは誤嚥が原因と言われています.誤嚥しないような取り組みも大変重要なことですが、たとえ誤嚥したとしても、口腔ケアが十分であれば、肺に入ってしまった食物の汚染度が少ないので、肺炎の発症を抑えられるとのデーターも有ります.口腔衛生に留意しましょう。
食事と呼吸という生きて行く上で非常に重要な機能が、かなり危うい反射機構により維持されていることが不思議ですよね。そう思われるのも当然のことです.動物一般、ネコもイヌもすべてこんな危なっかしい構造にはなっていません。みな、呼吸のための気道と食物の移動経路は交差しないようになっています。進化の頂点に君臨する人間がなぜこのような構造になった理由は、肺から出た空気を口から出して種々の音を発声できるようにするためでした。コミュニケーションのツールとなる多種の言葉を使えるようにするために、生きるために根源的な呼吸機能と摂食機能をリスクに晒せることを進化の過程で選択したのだと思います.
2016年11月28日 (月)
2016年9月27日 (火)
ある患者さんの思いで17
本日検診で来院された患者さんが、『お世話になった義母がこの5月に逝去した』との報告を受けました.昭和2年生まれの89歳で、誕生日を迎えれば90歳になる女性でした.
2016年8月22日 (月)
声楽と舌位
患者さんに鼻呼吸の大切さをお話しし、その時には舌は上顎の前歯の少し奥の口蓋部分に付けてくださいと話ししたら、幼少期から習っている声楽では、舌根を後方にやり、大きく口が開くよう教わり訓練していたとのことでした。したがって、舌は下方に置くよう指導されていたそうです。音楽一般・声楽とも無縁な生活をしてきたので、初めて聞くお話でびっくりしました。
2016年7月29日 (金)
自分の講演が記事に
以前このブログで紹介した学校保健会での講演が地区のミニコミ紙の記事になりました.(http://e-ndc.cocolog-nifty.com/blog/2016/06/post-61b5-1.html)地区歯科医師会の広報担当者からタウンニュースが取材にくるとは聞いていたのですが、インタビューもされなかったので、記事として取り上げられるとは予想してませんでした。昨日何の気無しにいつも通り目を通していたら自分が写っていたのでびっくりです。さすがに、字数が少ないので、自分の言いたかったことが記載されているとは言いがたいですが、自分のやったことが公的な記録になったのは嬉しいことです。この手のミニコミ紙は、記事という名の取材されたお店や医院の宣伝ばかりと思っていたので、またびっくりです。人づてに私の講演は楽しかったと言われることが数人からあったので、自分としては思惑どおりに仕上がったものではないかとひと安心です.
2016年4月14日 (木)
舌下錠で花粉症対策
本日は3ヶ月おきに行なわれる昭和大学藤が丘病院で行なわれた『第18回藤が丘地域連携フォーラム』に参加してきました。今日のメインテーマは『花粉症と舌下免疫療法』でした。
2016年2月12日 (金)
介護疲れ
20年以上前に全体的な治療を完了し、その後定期的に来院されている患者さんが久しぶりに歯が痛くなったということで来られました。レントゲン写真を撮ってみると、根の先に陰影が写っていました。その歯は20年以上前に治療されていた歯で、一年前の写真には陰影はありませんでした。
お話を伺ってみると、母親の具合が悪化して、最近介護が非常に大変になったということでした。お疲れで、免疫力が低下した為に、くすぶっていた細菌が活動を始めたのかもしれませんとお話ししました。でも、介護が大変で、家を空けることが難しく、しかも遠方の方なので何回も治療に通うのが難しいようです。 また本日は、左顎から肩、こめかみまで痛いという患者さんも来院されました。お話では、子供さんに難しい障害があるようで、そのストレスを抱えているようです。
2015年10月26日 (月)
シニアの後悔
知り合いの歯科医からこんな記事がプレジデントに掲載されていたとの情報を受け取りました。
2015年10月 6日 (火)
より以前の記事一覧
- 18 :1小児への国家予算配分 2015.09.11
- 三陸ー津波被害から4年 2015.05.21
- 鼻呼吸と口テープのお勧め 2015.04.26
- 超急性期脳梗塞治療 2015.04.10
- 7才の男子が歯並びで悩む 2015.03.30
- ユマニチュード(見つめて触れて語りかけて) 2015.03.01
- 第14回藤が丘地域連携フォーラム 2015.01.13
- 大規模災害対処に付いて 2015.01.13
- 空気清浄機 2014.12.07
- 三歳児の子供の歯科治療費が50万円 2014.10.12
- 地域包括ケアシステム 2014.10.05
- 民族紛争 2014.08.29
- 開業26年、移転開業5年 2014.08.14
- 2014EOS(欧州矯正歯科学会)-ワルシャワ 2014.06.24
- 地域住民向け講演会 2014.03.21
- 防災訓練 2014.01.19
- 人間は地球環境にとっては病原体? 2013.07.28
- 小児がん 2013.07.25
- 非常時用無線装置 2012.09.23
- 噛めないから糖尿病が治った 2012.08.15
- クレンチング症候群 2012.05.23
- ある患者さんの思いで-13 2012.02.26
- トリアージ 2012.02.06
- 「濃縮された時間」と「うすめられた時間」 2011.10.28
- がん患者の口腔ケアー 2011.09.12
- 悲惨な現実とHAPPYな心境 2010.11.26
- 年収と幸福感 2010.10.29
- 競うことの意義 2010.03.02
- 老齢者の入れ歯 2009.04.09
- 健康食品ー黒酢にご注意 2009.03.22
- プラシーボ 2009.02.19
- 骨粗鬆症と歯科治療 2008.11.27
- 争いと言葉 2008.11.24
- オレオレ詐欺 2008.11.15
- 性差医療 2008.09.21
- この年で 2008.07.02
- 世界中を南極にしよう 2007.11.27
- 意外な統計 2007.07.26
- 闘病生活2 2007.03.20
- マルクスより強烈なマルクス主義者 2006.09.30
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