割りばし事故死
事件当時4歳の男子が綿あめの割りばしをくわえたまま転倒し、大学病院に運ばれたが担当医師は薬をのどに塗るなどして帰宅させたところ、翌朝死亡した。その後の解剖で頭蓋内に約7・6センチの割りばし片が刺さっているのがわかったことで、両親が医療ミスだとし、大学と担当医師に損害賠償を求めた裁判で、裁判長は当時の医療水準では頭蓋内損傷の可能性があると診断することはできなかったとし、原告の訴えを退けたとの報道が有った。
こんな事件が有ると昔脳外科医になった友人が、「臨床するのがいやになったから研究者の道に進もうと思っている」と言っていたのを思い出します。なぜかと聞くと、「やっとの思いで、命をとりとめられたから良かったと安堵しても、患者や患者の家族はそれだけでは満足してもらえなくて、障害が残ったのは何か医者がミスをしたからだと言われたり、直接は言われなくてもそんなそぶりをされるのが耐えられない。」とのことでした。歯医者の私にしても、同様な経験はありますが、扱う疾患の重要度が違うので、「大変だね」という言葉をかけるのが精一杯でした。
愛する子供が死んでしまった親の立場から考えれば、どうしてもっと注意深く診断してもらえなかったのかと考えれば考える程怒りが込み上げてくることと思います。担当医師にしても、今から考えればどうしてひょっとしたら割りばしが突き刺さっているかもしれないということが頭に浮かばなかったのかと悔やんでいるに違いないと思います。でも取り返しのできない事件は起きてしまった。かなしいことです。
航空機事故が起きた場合、再発予防のために徹底した原因究明がなされるようですが、アメリカでは当事者からの証言を得やすくするため刑事責任や民事責任を問わないことが原則となっているようです。これは、個人の過失責任を責めることよりも、事故の原因を純粋に科学的に究明し過失が起こる状況を改善することの方が、再発防止になると考えているからです。医療事故にも通じるものがあるのではないでしょうか。
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