バカの壁
タイトルが気に入らなくて敬遠していた8年程前ベストセラーになった本ですが,手に取ってみるとなるほどなるほどという感じで引き込まれてしまいました。読んでみて,やはり、タイトルのバカという言葉は不似合いと思います。
歯科医という職業は患者さんに、ご自身の口腔内の現状やら,治療方針、治療経過をわかりやすく説明しなければなりません。昔は,先生にお任せしますからよろしくやってくださいといわれたこともありましたが(今もたまにそのようにいわれることもあります)、きちんと説明して納得していただかないと治療にとりかかれません。患者さんにとっては聞き慣れない実体がイメージしにくいことを説明しなければならないので,丁寧にお話ししているつもりですが,中にはご理解していただけないこともあります。
この本によると人には知りたくない事柄に対しては、耳をかそうとしない、あるいた興味のないことは理解しようとしないという側面があるということです。その極端な例が,イスラム原理主義とアメリカの対立だそうです。どう考えても、これら両者がいくら話し合っても,分かり合えるようにはなりそうもありません。
通常歯科の現場では,患者さんはこちらの話しを理解しようとしてくださっているので、そんなに苦労することもないのですが,患者さんのためによかれと信ずることを分かりやすく説明するよう努力し続けるしかないですね。分かっていただけなかったら,分かっていただける時まで待つしかありません。
その他この本には、『夜と霧』でアウシュビッツの体験を書かれたフランケルの話しから,人生の意味について言及してました。いろいろ自分の生き方も考えさせられました。
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