2009年10月10日 (土)

ある患者さんの思いで-9

 宮田歯科で勤務していた時から歯科治療をさせていただいていた患者さんが1ヶ月前にお亡くなりになったと、娘さんが治療にいらっして伝えてくださいました。昭和2年生まれの方でしたので、享年82歳でした.最初に担当させていただいた時から、歯は半分以上失われていましたし、お体も病気がちのようでした。もう30年も前のことですので、考えてみますと当時の年齢は私の今の年齢より若かったことになります。
 横浜の青葉区の私の診療室まで2時間以上かけていらっしていただいていたので、お近くの信頼のおけ先生をご紹介させていただいたのですが、気が進まないと通っていただいていました。亡くなる5ヶ月前のこの4月に1年半ぶりにいらっしゃったときは、いつにもまして歯の状態が悪化しているなと感じたのですが、そうとうガンが進行していたようです。2年前の時点で、余命半年と告げられたそうです。娘さんのお話では、死ぬまで食事がちゃんと出来たと感謝してましたとのことで、嬉しく思いました。
 思い起こせば、この患者さんのご主人も、宮田歯科で私が担当していまして、総義歯を作ったのですが、それまで入れ歯で苦労していたのが嘘のようで、何でも噛めるとよろこんでいただきました。ご主人は4年前に亡くなったのですが、やはり食事には苦労しなかったと聞いていました。奥様が歯の具合が悪くなって、横浜まで行くというと、『歯を全部抜いて、自分みたいに総入れ歯にすれば虫歯や歯周病で痛い思いをすることなく、何でも噛めるから、歯を抜いてこい』と言われたとおっしゃっていました。その都度、ご主人のように総入れ歯で何でも噛める人は多くいないのだから、歯の手入れをして、自分の歯を1本でも2本でも多く残したほうが、具合よく噛めるのですよと毎回のようにお話ししたのを思い出します。『おだやか』という形容がぴったりなご夫人でした。ご冥福をお祈りします。

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2009年9月21日 (月)

尾瀬ハイキング

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連休を利用して尾瀬ケ原と尾瀬沼を縦断してきました。20日の朝あざみ野から5:15の電車で東京駅に向かい、新幹線を利用して上毛高原駅に向かいました。最近は車で行くことが多かったのですが、高速道路が渋滞することが予想されたので、車はあきらめました。車で行くと荷物の量の心配がないのですが、尾瀬に入るにはどちみち、担いでいかなければならないので、大差ありません。旅の目的は写真でして、朝霧の尾瀬沼のをメーンにしたので、湖畔にある長蔵小屋に予約を入れました。そこまでの入り方ですが、大清水からの往復では面白くないと、鳩待ち峠から入り、尾瀬ケ原を縦断してから尾瀬沼に行くコースをとりました。鳩待ち峠から見晴らしまでは下りと平坦な道で楽だったのですが、そこから尾瀬沼までが結構きつくこたえました。翌朝も天気がよく、念願の朝靄に浮かぶ燧ヶ岳を写真におさめることが出来たのですが、写真の出来が今ひとつでカメラを使いこなしていない自分にがっかりです。
 長蔵小屋でお風呂につかり汗を流したのですが、お湯は桶2杯だけにしてと掲示がありました.また、石けんはもちろん使用禁止です。トイレには蓋付きの容器が用意されていまして、おしりを拭いた紙は汚物と一緒に流さないで、そこに入れるよう注意書きがありました。紙を流すとその処理が大変らしいです。尾瀬という閉鎖された環境を守るためには、きれいで便利な生活が当たり前という考えを改めなければならないということなのでしょう。民主党に政権が移って、排出ガスを25%削減することを宣言されました.地球とはいえ、やはり閉鎖された環境ですので、そのくらいの目標が必要なのでしょう。相当な覚悟がないと達成できないような気がしますが.

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2009年9月10日 (木)

オバマ大統領の医療改革

 あれほど熱狂的に迎えられたオバマ大統領の支持率が急速に低下しているようです。その理由は公的な医療保険制度を創設しようとすることへの反発が最大の理由だと報道されていました。
 豊かで高度な医療の先進国であるアメリカで、経済的な理由で医療を受けられない人たちが大勢いる現状を改善しようとするオバマ大統領の考え方には皆が賛成して圧倒的な勢いで大統領に選出されましたが、経済的な理由で医療を受けられない人たちに医療を受けさせる費用を誰が負担するかの問題が現実的に検討されるようになると、すんなり話が進まなくなっているということなのでしょう。
 ロサンゼルスの歯科医に聞いた話では、歯内療法という歯の神経を取って薬をつめる治療費は日本の健康保険の料金の約10倍でした。噂によれば、一般の医科の治療費も日本より数倍高いようです。そんな高い治療費のままで、言い換えれば、効率より質を重視した医療を公的な医療保険制度に導入するとすれば、相当高額な保険料が必要となります。また、毎月天引きされる保険料も、日本では税金同様、所得水準により差があり、元気で働いて高収入の人は多分ご自分に必要な額以上を納めています。
 もしアメリカが、日本のような公的保険制度にすべての国民を加入させると、今まで自分に必要な保険を選択したりして必要な額の医療費を払い、高度な医療を受けられた高額所得の方々は、払い込む保険料はそこそこでも、受ける医療水準は全国民の医療費を勘案した制度に見合った制限されたものになるでしょう。
 そういう人たちを説得して、社会主義的な公的医療保険制度が実現できるのでしょうか?アメリカ人のヒューマニティが試されることになりそうです。

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2009年7月19日 (日)

移転開院

 6月25日以来のブログです。移転開院を控えていながら、臨床歯科での分科会での発表やら、今週土曜日(7/25)の日本顎関節学会での講演準備で、なかなか、余裕がありませんでした。とりあえず、予定通り7月17日(金ー大安)に開院することが出来てほっとしたところです。
 今までは、マンションの一階でして、外気を感じることがない診療室でしたが、今度は広い通りに面した2階で、思いっきり明るい雰囲気です。まだ、二日目ですが、よく穴蔵みたいなところでやっていたなという感じがします。先週までは、何も気にせず、当たり前にやっていたのにです。「場の雰囲気でこんなに気分が違ってくるなんて」という感じで驚きです.診療される患者さんににとってもいい感じなのではないかと、勝手に嬉しくなっています。
 地主さんや、不動産会社、建築会社、内装会社、機械器具メーカー、歯科材料会社とその関係者、そして家族の協力によって、豪華ではありませんが、歯科診療室としてはかなり完成度の高い空間になったと思います。少なくとも、自分の予測より良い状態に仕上がっています。
 あとは、きちんとした診療をして患者さんに喜んでいただければという思いです.

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2009年5月24日 (日)

阿修羅像

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今日こそは一ヶ月ぶりのテニスをしようと考えていたのですが、あいにくの雨でしたので、前から気になっていた阿修羅展に行ってきました。ネットの案内によると午前中より午後の方が空いているということでしたので、2時半に会場に着き、30分行列して面会してきました。フラッシュを焚かなければ写真をとっても許されるのかと思いカメラを持参していったのですが、係員が多くまったく無理でした。
 阿修羅像の周りには何十もの人垣がでしていたのですが、運良く最前列で一周見ることが出来ました。どんな思いをこめて創ったのでしょうか?制作依頼者はどのような像を求めていたのでしょうか?1300年も前のことです。今とは、衣食住すべての分野で格段の違いのあった時代です.でも、像の表情には現代人にも共感できるものがあります。科学技術の発達で人の暮らしは豊かになりましたが、怒りや悲しみという心の感性は変わっていないからなのでしょう.仏教のテーマである生きながらに極楽境地の『悟り』は遠いからなー。何かと物欲をそそられる現代ではなおさら遠い人が多くなっているのかもしれません。
 それにしても1300年前の人が創ったものが大切に保存されているなんて驚きです.本館前の樹齢何百年の大銀杏にも感動です。
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2009年5月 6日 (水)

昭和のエートス

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 一ヶ月ほど前に、高校の同窓で同学年の有名な評論家(大学教授)とうことで興味を持って講演を拝聴したときに、講演者の著作として販売していた『昭和のエートス』をやっと読み終わりました.講演そのものは、最近の学生はというかその親は、金銭や効率至上主義の損得感情に汚染されていて、純粋に学問しようと考えていないというものでした。何かに役に立つから、何かに得するから学校に行って勉強するのであるから、学校に行くのは単位や資格を取るためであって、勉強する内容には興味がないようだということでした。
 学校に入学する学生が、単に卒業することが目的であって、学校生活に何の興味もないとしたら、先生はやりきれないでしょうね。外国で生活したことがないので、真実かどうか分かりませんが、欧米人は仕事は生活費を得るためしかたなくやっていると考えているので、お金が貯まれば引退して悠々自適の生活をしたいと考えているなどど聞いた話を思い出しました。
 世界の車窓などの列車の旅のテレビ番組をたまに見るのですが、目的地に向かう間の車窓の風景や同乗者との会話を楽しそうにレポートしています.早いことが取り柄の新幹線の旅とはおもむきが異なります。
 私のところにいらっしゃっていただいている患者さんも、通院治療の結果、良い歯になってよく噛めたり見た目が良くなることが目的で、しかたなく来たくもない歯医者に通っていただいてもらうので、なるべく効率よく治療がすすむようにしているつもりですが、私自身は徐々に良くなったり、最初の時とは見違えるようになったり、患者さんにマジックを使ったように良くなったと言われたりするのが楽しみでやってます。歯医者稼業も仕事とはいえ、のどかな昭和のエートスは忘れたくないなー。

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2009年4月23日 (木)

同世代の急逝

 昨日は私よりいくらか若い耳鼻科の先生のお通夜に行ってきました。ここ数年はお会いしていなかったのですが、患者さんを紹介したときや紹介されたときにはメールのやり取りをさせていただいていましたので、悲報に接した時はまさかと思いましたが、遺影を見て亡くなってしまったのだなと改めて実感しました。ほんとに急なことだったらしく、テニスをした後、倒れてそのまま亡くなってしまったようです。
 仕事を若干早めに切り上げて出かけたのですが、着いたのは通夜が始まって1時間後のことでした。それにも関わらず、お焼香の前は長蛇の列でした。紹介した患者さんに、良い先生を紹介されたと喜ばれたのですが、あらためてこの先生の生前の信望の厚さに感心いたしました。先生が元気に働いていて当然のごとく回っていた耳鼻咽喉科医院が、ぱたっとその機能を失ってしまった現実は怖いとしか言いようがないですが、亡くなってしまったご本人もさぞかし無念であったろと察しします。
 メンテナンスに対して注意も払わずに、心臓が休みなく何十年も働き続けているのは奇跡だと常々思ってはいましたが、生きることに、即、自分と社会の架け橋の歯科診療に、真摯に取り組まなければと考えさせられました。

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2008年12月31日 (水)

紅白歌合戦

 先ほどまで紅白歌合戦を観ていました。歌詞を聞いていると、恋愛感情にを題材にしたものの多さに圧倒されました。結婚は普通一回しかできないのにです。人生って、もっともっと多くの事柄があると思うのですが、多くの人の関心事というか、願望というか、心をときめかす事は恋愛感情なのでしょうか?恋愛感情が満たされないで、願望を抱いているからその感情を昇華させる歌が好まれるのでしょうか?
 でも聞いていると、悲しい歌が多いですね。ハッピーな曲は満たされない感情を昇華させる手段とはなり得ないのかもしれません。恋愛感情を題材にしていない曲もハッピーの状況を歌ったものでなく、苦しさとか悲しさに耐えている感じの情感を込めている歌が多いとの印象を受けました。昔の『おれは河原の枯れすすき』的な、自分を必要以上に卑下して、悲しみに浸る感覚に陶酔することで日常の鬱憤を昇華する習性が日本人にあるのかもしれません。私もそうかな。

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2008年11月 7日 (金)

オバマ新大統領

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 アメリカの大統領選はオバマ氏が選出されて終了しました。勝因はいろいろなことが挙げられると思いますが、私は彼の演説のうまさにあったと思います。わかりやすい平易な言葉が有権者の心を揺らしたのだと思います。音として耳を素通りせずに、心を共鳴させる要素が彼の演説にはあったのだと思います。アジテートでもなく、脅しでもないすなおな言葉が大衆に受けた意義は大きいと思います。30年前に読んだ「ことばの力学」を再度読み始めたのですが、なるほどと思いました。
 でもこれからが大変ですね。夢を与えられた大衆は途方もなく大きな期待を抱いているはずです。恋愛小説は、結ばれるまでの過程を記述しますが、その後の現実的な結婚生活までは言及しません。アメリカ国民が『パンとサーカス』を求めたローマの市民より賢いことを期待します。

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2008年10月 3日 (金)

ヤマダ電気

 年間売り上げが一兆八千万円で、業界トップのヤマダ電気の社長がテレビでご自分の経歴や信条を述べられていました。30数年前にたった8坪程の店舗で創業したそうです。知恵と努力は賞賛するにやぶさかではありませんが、ヤマダ電機の躍進に蹴散らかされた多くの同業者がいたことを考えると、社会全体にとって良かった現象なのか考えたくなります。とにかく、町の商店街には家電販売店はなくなりました。家電販売店だけでなく、どんな業種でも量販店が扱える商品を商っている小売店は衰退の一途といえるようです。才覚のある一部の人たちに世の中の富は吸い上げられていく運命なのでしょうか?
 ヤマダ電機社長は、今の大企業のトップという立場より、創業時の小売店の親方だった時の方が幸せだったともおっしゃっていました。最近ファーストフードより、スローフードを唱える話を聞きますが、効率より、人が幸福と感じられるような経済の仕組みがどういうものなのか、能力のある方に研究していただきたいと思います。

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