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2016年9月27日 (火)

ある患者さんの思いで17

 本日検診で来院された患者さんが、『お世話になった義母がこの5月に逝去したとの報告を受けました.昭和2年生まれの89歳で、誕生日を迎えれば90歳になる女性でした.

 思い起こせば、私が五反田の宮田歯科に勤務していたころからの患者・歯科医の関係でして、昨年も車いすで来院していただきました。かれこれ、40年近いお付き合いになります.40年前に初めてお会いしたときから、左下の犬歯1本しか残っておらず、義歯の調整を度々させていただきながら、残存している犬歯の重要性をお話しすることを繰り返しておりました.義歯の調子が悪くなるときはかならず、認知症になってしまっていたご主人の介護が大変なときで、その辺りの愚痴を何度か聞いた覚えがあります。
 私が、宮田歯科を退職してあざみ野に開業してからも、遠路通院していただきましたが、今から16年ほど前に倒れられて意識不明の状態が3ヶ月続いてしまいました。その後、大分体の状態が良くなったので、できれば往診していただきたいとの要請を受けたので、ご自宅に出かけたところダメになってしまったのではないかと思っていた犬歯が以前と同じ状態で残存していたのには驚かせられました.お聞きしたところ、お嫁さんが、義母が大事にしていた歯を意識不明の状態の時にも歯磨きをして口腔衛生に気を使っていたとのことでした。たとえ一本の歯でも、歯が無くなってしまっては、入れ歯が使えなくなり、栄養失調になってしまっては困るとの思いから続けたようでした.この話を聞いてまたびっくりです。
 しかしながら、昨年来院された前の年にはついにその犬歯もグラグラで、残念ながら抜くことになりましたが、この患者さんには多くのことを教えていただきました。ご冥福をお祈りするばかりです。合掌。

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2016年9月11日 (日)

看取る歯科治療の在り方

160910

『開業歯科医に寄せられる食支援への期待』〜“看取る歯科治療”の在り方とわ?〜 との演題の青葉区歯科医師会主催の講演会に参加してきました.講師は2000年卒業の自分の息子世代の方でした.大学院を卒業後、日本で初めてできた、摂食嚥下障害を専門にした研究室に入局してこの道に邁進してきたそうです.  日本人の死亡原因の第一位は戦後長らく脳血管障害でしたが、昭和50年代中頃からガンにとってかわられたました。しかしながら、この疾患を発症する人が少なくなった訳ではなく、死亡すること無く麻痺を抱えたままで、生き延びているというお話から講演が始まりました.そういうことはこれからも、口腔神経筋機能に障害がある為、摂食嚥下障害を抱えたまま生きる為に食をしなければならない患者が多くなるということのようです。  講演では、寝たきりで在宅の患者にどうやって、口から食べ物を食べられるようにするかを奮闘する様子がうかがえました.結局は、何らかの原因で患者さんは亡くなる経過をたどることを経験しているようですが、そのくだりは感動的でもあります。やはり、命が絡むとぐっときます。  私も現在通ってくださっている患者さんが、寝たきりになったら訪問診療をしなければならないと考えていますが、今回のお話は実に具体的でためになりました。

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