2009年6月25日 (木)

臓器移植法案

 臓器移植法案が衆議院で可決したとの報道がありましたが、まだ参議院での審議が残っているので法制化されるのかどうか微妙なところのようです。そんな折り、外国で移植手術を受けた1歳児が亡くなったニュースが新聞に掲載されました.その子には一億数千万円もの募金が集まっていたそうで、手術後の様態が悪いので再手術の必要があり、新たな募金活動をしようとしたさなかに亡くなったようです.すごい話ですね.
 また、数週間前には、7千万円もの募金でドイツで移植手術待ちをしている二十歳前の男性の話が記事になっていました。その方は、そんな大金をいただいて手術を受ける資格が自分にあるのか自問自答していると書かれていました.
 かたや、アフリカで難民活動をしているキャンペーンでは『100円で救える命』とのコピーも目にします。コンゴでは、1,000人の幼児の中で、205人までが5才の誕生日前に亡くなっているようです。
 あまりにも次元が違いすぎて、どう考えてよいかわかりませんが、億の費用をかけて臓器移植したお子さんには、将来的にも、相当な医療費を社会は負担しなければならないことは想像できます.かたや、数百円で救ったアフリカの難民の子は元気に社会に貢献してくれそうです。
 人の命をお金の天秤にかけることはできませんが、かなり不公平な感じがします。どう考えたらよいのでしょうか?

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2009年6月15日 (月)

10年ぶりの来院

0969_4 先日私が五反田の宮田歯科に勤務していた時代に前歯の補綴治療をさせていただいた患者さんが10年ぶりにいらっしゃいました。この患者さんのお母様は、ちょこちょこ検診やら、小さな歯のトラブルで来院されていましたので、娘さんに歯のチェックをしたいので、いらっしゃるよう伝言していただくよう依頼していましたが、やっと来院していただけました。かれこれ、治療してから30年近く経過しているので、予約が入ってから、自分が治療した歯がどのような経過を辿ったのか、いろいろな状態を想像していましたが、結果的にはほとんど問題ない状態でした。これでは、遠いところから出向いていただけなかったのもうなずけます。
 右上側切歯の歯肉が下がってしまい、歯根が露出してしまった以外はほとんど30年前と変わりありませんでした。勤務していた時代のことですので、記録はないのですが、確か、当時数年前に補綴したブリッジをやり直したと記憶してます。ブリッジをしなければならなかった理由は事故であったようでした。きちんと精巧な治療をすれば、同じような経過が得られるのであれば、歯科治療もある意味単純でいいのですが、正直言いまして、自分としては最善の治療をしたつもりでも、種々のトラブルが生じることを多々経験してます。
 悪くなった歯を治療して、機能的にも、審美的にも回復させるのが歯科医の役割ですが、事故で悪くなった歯を治療して再度悪くならないようにするのは、また、事故に巻き込まれないようにすれば良いので比較的容易なことだったのだと思います。虫歯や歯周病で治療した場合は、甘いものをさけたり、歯磨きを治療前のときよりしっかりやる必要があります。治療しなけばならなかった原因を正さなければ、ならないので、患者さんの習慣を変えてもらう必要があります。
 歯並びが悪いのを、治療するには、歯並びが悪くなった原因を探求しなければ、機械的にきれいにしても元に戻ってしまいます.顎関節症は、噛み合わせが悪いのが原因だから、噛み合わせを治さなければ治らないと力説する歯科医もいますが、噛み合わせが悪いのは口の周囲の筋肉の調和が悪いためにそうなった結果であるから、噛み合わせだけを治そうとしても原因療法にはなり得ません。そこが非常に難しい。患者さんにどのように説明したら納得していただけるのか?どのようなアドバイスをすれば、口の周囲の筋肉の調和が保たれるのか?非常に、非常に難しい。

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2009年5月24日 (日)

阿修羅像

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今日こそは一ヶ月ぶりのテニスをしようと考えていたのですが、あいにくの雨でしたので、前から気になっていた阿修羅展に行ってきました。ネットの案内によると午前中より午後の方が空いているということでしたので、2時半に会場に着き、30分行列して面会してきました。フラッシュを焚かなければ写真をとっても許されるのかと思いカメラを持参していったのですが、係員が多くまったく無理でした。
 阿修羅像の周りには何十もの人垣がでしていたのですが、運良く最前列で一周見ることが出来ました。どんな思いをこめて創ったのでしょうか?制作依頼者はどのような像を求めていたのでしょうか?1300年も前のことです。今とは、衣食住すべての分野で格段の違いのあった時代です.でも、像の表情には現代人にも共感できるものがあります。科学技術の発達で人の暮らしは豊かになりましたが、怒りや悲しみという心の感性は変わっていないからなのでしょう.仏教のテーマである生きながらに極楽境地の『悟り』は遠いからなー。何かと物欲をそそられる現代ではなおさら遠い人が多くなっているのかもしれません。
 それにしても1300年前の人が創ったものが大切に保存されているなんて驚きです.本館前の樹齢何百年の大銀杏にも感動です。
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2009年5月22日 (金)

くいしばりの害

 先日の日曜日(5/17)に東京国際フォーラムで『咬合と力の問題をコントロールする』という演題でシンポジウムが開催されました.私がホームページで警告している『くいしばりの害(http://www.e-ndc.com/Pages/kuisibari.html)』はどのようにしたらコントロールできるのかというテーマでした.
 結論は、ある程度は歯科医の治療方針でコントロールできるが、それを超えてしまうこともあり、患者さんに真剣に自覚していただき、自己暗示などで対応していただくしかないこともあるとのことでした。歯科医側でどんなに精密に人工物を仕上げたところで、睡眠中の無意識に行う歯ぎしりなどの破壊的な力をコントロールすることはできないようです。それぞれの発表はその対応策ではなく、破壊的な力のコントロールの難しさを改めて認識させるようなものだったように思います。
 医療関係のテレビ番組で、卓越した知識や技量の医師を『神の手』と形容し、その特殊な治療技術が紹介されることがありますが、歯科では、この問題がある限り難しそうです。毎日、肩や顎の力の抜き方を何人もの患者さんにお話ししてますが、これから先も続けなければならないようです。
 

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2009年5月 6日 (水)

昭和のエートス

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 一ヶ月ほど前に、高校の同窓で同学年の有名な評論家(大学教授)とうことで興味を持って講演を拝聴したときに、講演者の著作として販売していた『昭和のエートス』をやっと読み終わりました.講演そのものは、最近の学生はというかその親は、金銭や効率至上主義の損得感情に汚染されていて、純粋に学問しようと考えていないというものでした。何かに役に立つから、何かに得するから学校に行って勉強するのであるから、学校に行くのは単位や資格を取るためであって、勉強する内容には興味がないようだということでした。
 学校に入学する学生が、単に卒業することが目的であって、学校生活に何の興味もないとしたら、先生はやりきれないでしょうね。外国で生活したことがないので、真実かどうか分かりませんが、欧米人は仕事は生活費を得るためしかたなくやっていると考えているので、お金が貯まれば引退して悠々自適の生活をしたいと考えているなどど聞いた話を思い出しました。
 世界の車窓などの列車の旅のテレビ番組をたまに見るのですが、目的地に向かう間の車窓の風景や同乗者との会話を楽しそうにレポートしています.早いことが取り柄の新幹線の旅とはおもむきが異なります。
 私のところにいらっしゃっていただいている患者さんも、通院治療の結果、良い歯になってよく噛めたり見た目が良くなることが目的で、しかたなく来たくもない歯医者に通っていただいてもらうので、なるべく効率よく治療がすすむようにしているつもりですが、私自身は徐々に良くなったり、最初の時とは見違えるようになったり、患者さんにマジックを使ったように良くなったと言われたりするのが楽しみでやってます。歯医者稼業も仕事とはいえ、のどかな昭和のエートスは忘れたくないなー。

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2009年4月23日 (木)

同世代の急逝

 昨日は私よりいくらか若い耳鼻科の先生のお通夜に行ってきました。ここ数年はお会いしていなかったのですが、患者さんを紹介したときや紹介されたときにはメールのやり取りをさせていただいていましたので、悲報に接した時はまさかと思いましたが、遺影を見て亡くなってしまったのだなと改めて実感しました。ほんとに急なことだったらしく、テニスをした後、倒れてそのまま亡くなってしまったようです。
 仕事を若干早めに切り上げて出かけたのですが、着いたのは通夜が始まって1時間後のことでした。それにも関わらず、お焼香の前は長蛇の列でした。紹介した患者さんに、良い先生を紹介されたと喜ばれたのですが、あらためてこの先生の生前の信望の厚さに感心いたしました。先生が元気に働いていて当然のごとく回っていた耳鼻咽喉科医院が、ぱたっとその機能を失ってしまった現実は怖いとしか言いようがないですが、亡くなってしまったご本人もさぞかし無念であったろと察しします。
 メンテナンスに対して注意も払わずに、心臓が休みなく何十年も働き続けているのは奇跡だと常々思ってはいましたが、生きることに、即、自分と社会の架け橋の歯科診療に、真摯に取り組まなければと考えさせられました。

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2009年4月 9日 (木)

老齢者の入れ歯

 先日の日曜日には、何年も通院してくださった患者さんの入れ歯の調整に、入院先の介護施設のような病院に往診してきました。この方の入れ歯は、私の診療室に通院する前に作られていたアタッチメントを使用した手の込んだ入れ歯でして、しっかり作られているのですが、患者さんの手先の筋力が落ちてきた現状では扱いが難しくなってしまっています。扱いやすい装置にした方が良いとは思うのですが、往診の環境で体力が落ちた患者さんのアタッチメントを外すには無理があるので、お話を伺いながら、微調整しかできません。
 今日の朝一番で来院された患者さんは、お体は元気なのですが、痴呆が進んでしまいご自分の歯を磨くことができず、残存歯が4本になってしまいました。それでも、入れ歯に慣れていたせいか、食事の方は不自由なくできているようです。この患者さんは昔からよくおしゃべりする方で、今日も明るく世間話をしていましたが、ご主人がつい最近なくなって葬式をしたことも覚えていないようでした。悩みのない子供のような振る舞いです。
 往診してきた患者さんの付き添いの方から連絡が入り、日曜日に入れ歯を調整したら、それまで使用するのをいやがり装着していなかったのが、使用するようになったら少し舌が痛くなったというこでした。できれば入れ歯を入れてよく噛めるようになって、体力をつけてもらいたい思いで診療後の夜に往診してきました。
 昼間は明るくて快適な病院という印象がありましたが、夜はさずがにスタッフも少なくなるし、消灯されている場所もあるので怖い感じがありました。患者さんが言うには、訳の分からないうめき声や呪文のような音も聞こえるようようです。このまま、病気のままでホスピスにいるような暮らしなら早くお迎えが来てほしいとも言ってました。年をとって病気になるのは辛いことでしょうね。

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2009年3月22日 (日)

健康食品ー黒酢にご注意

 昨日、定期的にいらっしていただいている患者さんが、歯が数カ所欠けたと言って来院されました。昨年10月以来ですので、普段より短期間でしたが、五カ所程崩れていた歯がありました。
 お口の手入れは良い方でしたので、何か生活面や食べ物が変わりましたかと尋ねたところ、別に変わったことはないけど、昨年7月から健康に良いからと黒酢を飲み始めましたと答えてくれました。
 黒酢には必須アミノ酸が多く含まれ、美容と健康、ダイエットにも効くし、抗がん作用もあるようです。しかしながら、酢ですので、PH3.2とかなり酸性度が高い食品です。ちなみに、PH5.4以下になりますと、歯のカルシウム成分が溶解しますので、黒酢を飲み続ければ虫歯が多発してもおかしくありません。実際、昨年にも同様に、急に多数の歯が虫歯になった中年の女性がおられました。その方は今回の患者さんほど歯磨きが熱心でなかったので、かなりひどい状態でした。
 数年前には、ヤクルトを飲むようにしてから虫歯が多発した初老の男性もいらっしゃいました。もちろん、砂糖が多く含まれている飲料水を飲み続ければ、相当歯が丈夫(耐酸性が強い)か、きちんと歯磨きしなければ虫歯になります。
 その他に、柑橘類(100%オレンジジュース)PH 4.6 、 ビール PH 3.8 、スポーツドリンク PH 3.4 、 栄養ドリンク PH 3.0 、コーラ PH 2.1 なども注意していただきたいと思います。

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2009年2月19日 (木)

プラシーボ

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 日本歯科医師会の機関新聞である「日歯広報」に、プラシーボの効果について、この分野での著作の多い浜松医科大学の名誉教授・高田明和先生のコラムが掲載されていました。
 一般的にはプラシーボ効果を期待するのはいかさま医者扱いされているような風潮がありますが、西洋医学の最先端を行っている米国でも積極的な応用が研究されているようです。特に、痛みで患者を苦しめる線維筋痛症のように、原因が分からず治療法が確立していない疾患に対しては、砂糖の塊(シュガー・ピル)をプラシーボとして応用されているようです。砂糖そのものが、疾患に対して効果があるとして利用されているのではなく、砂糖の甘さで気持ちが和らぎリラックス効果で痛みが和らぐことを期待しての処方です。
 生き物には自然治癒能力が備わっている。その能力は清潔で、安静な状態で高まると常々患者さんにお話ししてますが、気持ちを落ち着かせることが痛みの感覚を和らげる効果があるのでしょう。「人はなぜ治るのか」などの著作で有名なアンドルー・ワイル博士は著作の中で、純粋に西洋医学的に物理的な治療法でさえ、医師がその方法で治ると確信していてそれが患者さんに伝わるから治るのだと述べておられます。西洋医学も、原始的なシャーマニズムも医療の原点は同じようです。自然治癒をどの程度期待するかの違いと、それを意識して治療するかしないかなのだそうです。
 痛むはずがない歯の痛みが主訴で来院された患者さんが、結局は線維筋痛症であったことがあります。痛みの理由が分かって落ち着いたと言われました。病気が治った訳ではないのですが、痛みは和らいだそうです。なにげに人間は複雑です。

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2009年1月19日 (月)

訪問診療

 一昨年来、機会あるごとく訪問診療など高齢者を対象にした歯科の問題に対して取り組んでいらっしゃる先生方の講演を拝聴していますが、18日(日曜日)は静岡県でご開業されている米山武義先生のお話を伺いました。
 米山先生は高齢者、特に口で噛まなくなって久しい方で、口腔機能が衰えてしまった患者さんにどう対応していくかということから、楽しく食事ができることがどれほど高齢者にとって重要であるかをお話しされました。また、厚生労働省からの研究を依頼されたことから、口腔清掃と肺炎・熱発の関係や、自分の歯で咀嚼することが、低栄養を防ぎしいては免疫力の向上に繋がることなど科学的根拠を基にわかりやすく、情熱を持ってお話ししてくださいました。
 米山先生とチームを組んで要介護者の口腔ケアに取り組んでおられる杉山総子歯科衛生士は、ターミナルケアと同じような感覚で、衰退しつつある老後を迎えている高齢者が、いかに豊かな生活をすごしていただけるかお手伝いしたいとお話しされました。『このお年寄りに世の光を』ではなく、『このお年寄りを世の光に』と言い換えるべきだとされました。その意味は、お年寄りが生き生きと生活する姿が、世の中を明るくするということです。使命感を持って仕事に打ち込んでおられている姿勢は感動的でもありました。

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